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福島家庭裁判所 昭和46年(家)85号 審判

申立人 中野良吉(仮名)

事件本人 中野利子(仮名)

事件本人精神障害者 中野正良(仮名)

主文

事件本人中野正良の保護義務を行なうべき順位につき申立人の順位を事件本人中野正良の配偶者である事件本人中野利子の先に変更する。

申立人を事件本人中野正良の保護義務者に選任する。

理由

本件調査の結果によると、事件本人中野正良は精神分裂病を有する精神障害者であつて、事件本人中野利子は同精神障害者の配偶者であり、申立人は同精神障害者の父であり、外に、同精神障害者には母、兄弟等がいるが、同精神障害者が精神分裂病で、昭和四六年一月二〇日精神病院に入院したので、その保護のため、中野利子が申立人及同精神障害者の母、兄弟等より先順位で、精神衛生法所定の保護義務者となるものであるところ、同女は、夫が吝嗇で嫉妬深く、しばしば暴行を受けたりしたため、同四三年六月一〇日頃実家に難を避け、爾後現在まで別居し、夫からの離婚の申出にも、熟慮中であつたことから、離婚を望む夫のため、精神衛生法所定の保護義務者になることを辞退し、申立人が同女に代ることを強く望み、また、申立人も積極的に保護義務者になることを希望していることが認められる。

上記認定の事実からすると、同精神障害者保護のため、精神衛生法第二〇条第二項但書所定の保護義務者の順位を変更する必要があると認められるので、これを変更し、同法同項第四号により、申立人を同精神障害者の保護義務者に選任することとし、主文の通り審判した。

(家事審判官 早坂弘)

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